部下に嫌われる、部下に嫌がられるとわかっていても、やり抜かなければならないことが上司にはあります。
それは親が子供を育てるのに似ています。子供に好かれることだけをやろうと考えている限り、真の教育をしているとは言えません。
もうずいぶん前の話ですが、私の友人は息子に「ゲームセンターに連れていってくれ」といわれたとき、「それはダメだ」と突っぱねたことがあったそうです。 彼にしてみれば、息子をゲームセンターへ行くことなど、わけない話です。 息子にしてみれば「ゲームセンターくらい連れて行ってくれてもいいだろう」と思ったに違いありません。
しかし、親としてゲームセンターに連れて行くことが、子供の将来に役立つとは、思えなかったそうです。彼はこのいきさつについて私に、「息子がプログラマーになりたいとか、ゲーム機の開発の仕事をしたいから、と言ってきたときには、 いくらでもゲームセンターへ連れていったんだけどね」と話してくれたことを覚えています。
似たようなことは仕事の現場でも起こります。 あるとき、私は書類の提出期限を守れなかった部下に対して、「徹夜してでも、今日中に仕上げて、明日の朝一番に提出しろ!」と言ったことがあります。
実際には、明日会社で書類を作って夜にでも提出してくれれば間に合ったものですが、あえて厳しい要求を部下にしたものです。 そこでは、約束を守る大切さの方を部下に教えたかったのです。
部下にしてみれば、そんなことは知りませんから「何で、今日中なんだよ」「明日の夜でも間に合うだろう」と思ったかもしれません。 それでも、上司なら貫き通さなければならないときがあるのです。
その部下に対しては、翌日の朝一番に書類を受け取ったとき、なぜ、私がこの期限にこだわったのかをきちんと説明して理解してもらいました。 上司は汚れ役を演じることも必要ですし、「なぜ、厳しくしたのか」という部分を部下が理解するまできちんと説明することもまた忘れてはならないのです。