「津島さんは、小さいことにはうるさいのに、大きなことには寛大ですよね」
とよく部下に言われていました。 実際、挨拶や掃除、机の整理整頓や遅刻をしないことなどは、かなり厳しく言い続けましたが、仕事上の大きな失敗などについては寛大な部分が多かったのかもしれません。
そもそも、私は部下に小事こそ大切にしなければならないといい続けています。有名なハインリッヒの法則でも、1対29対300という数値を用いて、小事の大切さを解いています。一つの重大事故というのは、29の小さな事故、そして300のちょっとした出来事(違和感やヒヤリとした瞬間)などによって引き起こされるというものです。
そのほかにも、「割れ窓理論」というものもあります。割れた窓を放置していると、そこではもっと重大な犯罪が犯されることになるという理論で、軽微な犯罪を見逃してはならないという教えです。
実際にニューヨークでは、落書きを消したり、未成年者の喫煙、違法駐車などの軽微な犯罪の取り締まりを強化する事によって、殺人、強盗、婦女暴行などの凶悪犯罪が減少し、治安が回復したという事例もあるのです。殺人にいたっては、5年間で、7割近く減少したというから驚きです。私も仕事柄色々な社長から「会社を変革したいんだけど」といった類の質問をよく受けます。
その時私は「では、先ず挨拶と掃除と元気ある朝礼を徹底して下さい。それができたら次の段階ですね」とアドバイスします。これは、そんなことすら徹底できない会社が、新しい戦略や方針を徹底できるとは思えないからです。実際、この三つを徹底しただけで業績が向上したという例はたくさんあります。
だからこそ、私も「机の上はきれいにしろ!」とか、「あいさつは、どうしたら相手が気持ちいいかを考えてしろ!」など、仕事とは無関係ではないかと思われるほどの小事について、うるさく言い続けたのです。
仕事というのは、そんな大層な事ばかりではなく、もともとは小事の積み重ねです。なので、小事をおろそかにせず、小さな事、簡単な事を確実に繰り返すことが大切なのです。